きこえの仕組み

音は耳の穴から入ってきて、奥の鼓膜を震わせ、蝸牛で音は電気信号に変わり神経を伝わって脳の側頭葉に至る。大切なことは音や言葉は耳で聞いているのではなく脳で聞いているということ。

難聴とは

現在、65歳以上の4人に1人、75歳以上の2人に1人が難聴と言われています。難聴は一般的にはゆっくり進行するため聴力の衰えに気づかなかったり、気づいていてもある程度日常生活は問題なく過ごすことができるためについついそのままにしてしまう人もすくなくありません。難聴とは音がほとんど聞こえなくなる病気ではなく、音がきこえにくい状態を指しています。

自身の耳の状態を知る

治療によって改善する難聴もあるため自身の耳の状態を把握しておくことは重要です。また、難聴の背後に重大な疾患が隠れていることもあります。まずは耳鼻科で診察を受けてください。

1.耳鼻科で自身の耳の状態を診てもらう → 治療により改善可能かどうか。重大な疾患がないか。

2.純音聴力検査(音の聞き取り検査)で難聴の種類や程度を知る。語音弁別検査(言葉の聞き取り検査)で言葉の聞き取り能力を知る。

難聴の種類

1.伝音性難聴(耳介、外耳道、中耳の障害)

・急性中耳炎、慢性中耳炎、滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎、耳硬化症など
・手術により改善可能
・補聴器の効果が大きい

2.感音性難聴(蝸牛、聴神経、脳の障害)

・遺伝性難聴、突発性難聴、音響外傷、騒音難聴、メニエール病、加齢性難聴など
・手術などによる改善が難しい
・聴力に比べ言葉の聞き取りが悪く、それが重度の場合は補聴器の効果が低い
・補充現象がある(音が少し大きくなっただけで、その何倍も音が大きく聞こえる現象)

3.混合性難聴  

・伝音難聴と感音難聴が混ざったもの

聴力レベル(音の聞き取りレベル)

聴力検査により難聴のレベルを知ることができます。世界保健機関(WHO)は中等度難聴(40dB以上)には補聴器の着用を推奨しています。

1.正常(25dB未満)→ ひそひそ話も聞き取れる。大勢の人がいる部屋でも、会話が聞き取れる。

2.軽度難聴(26dB 以上40dB未満)→ 聞き返すことが多い。大勢のいる部屋での会話が聞き取りにくい。

3.中等度難聴(41dB 以上70dB未満)→ テレビの音が大きいと家族に言われる。普通の大きさの会話が聞き取りにくかったり、聞き間違いが多い。

4.高度難聴(71dB以上90dB未満)→ 大きな声でも聞き取りにくい。耳元で大きな声で話してもらうと聞こえる。

5.重度難聴(91dB以上)→ 耳元の大きな声も聞こえない。

語音レベル(言葉の聞き取りレベル)

耳を聞こえないままにしておくと、音を聞く能力が低下していくだけでなく、会話において特に重要な言葉を聞く能力も低下していきます。言葉を聞く能力が低下してから高性能の補聴器を着けても音は聞こえるが相手の言葉が聞き取れないといったことになります。

言葉を聞く能力の低下が少ないほど、補聴器を着けたとき雑音に聞こえる生活音に慣れるのが早く、聞き流すことも容易になります。

聞こえにくいと感じたらそのままにせず、できるだけ早い段階から補聴器を利用した方が言葉を聞く能力の低下を防ぐことができます。