最近厚生労働省から難聴になると認知症のリスクが高くなると衝撃的な発表がありました。現在、日本の認知症患者数は約462万人であり、高齢者の4人に1人が認知症またはその予備軍といわれています。米国国立加齢研究所の調査によれば、軽度難聴の人が認知症になるリスクは正常な聴力の人の2倍、中等度難聴の人では3倍、重度難聴の人では5倍も高くなるといわれています。難聴が認知症を進める要因として、難聴により周囲からの情報量が減少し、脳への刺激を減少させることや会話がうまく成立しないことで社会との交流が無くなり、精神的健康に影響を与えることが指摘されています。特にコロナ下において人との交流が疎遠になりがちです。『認知症予防は耳から』、一度自身の聴力について考えてみる必要があるのではないでしょうか。

年齢が高くなればなるほど認知症のリスクは高くなっていきます。90歳以上は2人に1人が認知症と厚生労働省のデータにあります。

英医学誌ランセットによると、65%の予防が難しい要因として加齢、遺伝があげられ、35%の予防可能な要因として難聴が9%、教育不足8%、喫煙5%、うつ病4%、社会的孤立2%、糖尿病1%となっています。社会的孤立は難聴が引き金になることがありますので、難聴は認知症の要因としては特に重要です。

脳のゴミ

難聴になると認知症になりやすい理由は実はまだ解明されていません。ただ興味深い事実が分かっています。難聴の人も、認知症の人も、脳の「側頭葉」と呼ばれる部分に「アメロイドβ」という「脳のゴミ」がたまっているということです。現在、この「脳のゴミ」を除去するために様々な機関が研究をしています。